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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 女流建築家の提案プラン > 人を招きやすい家
女流建築家の提案プラン 03
年末年始は、自宅に人を招く機会が多いもの。 特に客間を設けていない場合は、ふだん生活している空間に人を招くことになりますから、親しみを感じてもらいやすい一方で 片付いていない、他の家人に気兼ね…などの問題も生じがちです。今回は、「気軽に人を招けて、招かれた人も居心地のよい」 家づくりについて考えます。
人を招きやすい建物に決まりはありません。招きやすい家とは、建物の作り方よりもその家のふだんからのおつき合いのなかで、迎える姿勢、心づかい等、本当に招きたいという人間の気持ちが一番でしょう。しかし、家にも何となく入りやすい家もあれば、どことなく入りにくい家もあります。楽しげで温かく作られた門扉や庭木、花などがあると、この家にはどんな方が住んでいらっしゃるのかしらと想像して、家の中に入りやすくなります。
招きたいけど狭いから招けない、と思っている方もあるかも知れませんがそんなことはありません。日常生活で使うもののすぐそばに収納棚があると(事例1、3)、片付けの苦手な人でも億劫がらずにさっと片付けることができ、急な来客でもあわてることもありません。たとえ狭い部屋でも、椅子とテーブルの生活から座る生活に変えて目線を下げると部屋は広く感じられます(事例1、2)。椅子何脚かがなくなる分、すっきりもします。また、部屋同士を壁で完全に仕切らず、引き戸を利用することによって、限られたスペースを何通りにも使うことができます(事例2)

広さは充分であっても、他の家人への気兼ねが問題になることもあるでしょう。その場合は、客と家人のぶつからない動線を考えた間取りにします(事例2)

以上のような「人を招きやすい」要素を採り入れた事例をお見せいたしましょう。
(竹田恭子)
ご近所との交流を大切に感じているご家族ですが、部屋の1つひとつが大きくなく、コンクリート壁なので取り払えない上に、居間にも荷物がいっぱいで人を招き入れられないという悩みがありました。そこで、「片付く家にして人を招きたい」というご要望でリフォームした例です。まずテーブルと椅子の生活をやめ、床暖房を入れて掘りコタツに。目線が下がると天井が高くなり部屋全体が広く感じられ、窓からも庭の植え込みが眺められるようになりました。造り付けの収納家具にテレビやパソコンも入れ込んですっきりとした空間に。家族にとっても、訪れる人にとっても、居心地の良い部屋になりました。

このお宅では3世代が1つ屋根の下に生活しています。高齢のお母様は、建て替える前に小さな割烹屋をしていた関係や、近所に娘さんが住んでいることもあって、たくさんの来客があります。客が家人に気兼ねなく訪ねて来られるようにと、玄関横にお母様の部屋をつくりました。

建て主夫婦にも来客が多く、2階の居間は洋風和室の一部に1間の掘りコタツがあり、大勢が集まるときには、同じ天板の座卓を横に並べて置いて2間幅の大テーブルに変身させます。その居間と食堂や台所、階段室などが引き戸で区切られており、来客のときや空調を入れたとき等は建具によって閉め、気候のよいときには開け放って開放的にするなどしています。

同時に動線は回廊のようになっていますので、客は家人に気兼ねがなく、また家人も客と鉢合わせせずふだん通りに生活することができます。外からのインターホンで来客がわかると、電気錠を2階の居間から開放できるようになっています。
子供たちのリビング

子供部屋の広さは最低限に抑えてその分、共用の多目的スペースを広く。家族ぐるみの集まりのときには、ここが“子供たちのリビング”となっているようです。吹き抜けに面した引き戸を開けておけば、2階にいる親にも子供たちの気配が伝わってきて安心です。
回れる動線

建て主主婦の来客や大勢の来客は2階の居間でもてなします。食堂のダイニングルームは配膳スペースとしても使われています。居間と食堂、台所、廊下はぐるりと回れるようになっているので、お客様は食堂を通らずに家の中を動き回ることができます。
お母様の来客に
配慮した部屋


来客の多いお母様の部屋は玄関横につくりました。その結果、家人に気兼ねなく来客を招けると同時に「主人も子供たちも玄関を出入りする際に必ずおばあちゃんに声をかけるので、思いのほかこの位置はよかった」と奥様が後日談に話されました。
この家では玄関に窓がなく、直接自然光が入りません。そこで、「キッチン・食堂」と「玄関・廊下」との境にガラスブロック曲面で壁を作りました。この効果として、玄関が広く感じられるだけでなく、ドアを開けたときに、昼間はキッチンの窓からの外光が、夜は食堂の光がガラスブロックを透して玄関に柔らかくもれ、人を優しく招き入れています。

その食堂は決して広い部屋ではありませんが、曲面のガラスブロックを背にしたベンチとテーブルがあり、居心地の良いコーナーになっています。この家には広い和室もあるのですが、来客はいつの間にかこのコーナーに集まってきて、お茶を飲んだりワインを楽しんだりしています

使いやすい収納と快適コーナーのある食堂にいつでも来客を招けるようになりました。


企業組合 花設計工房
1972年設立の東京パースを前身に、1988年、女性建築技術者の会を通して知り合った仲間たちにより、企業組合 花設計工房設立。以来、生活に視点を据えて、住宅設計を中心に大工さん、職人さんとのコミュニケーションを密にした現場監理を行っています。「家は買うものではない」でメンバーの意見一致。住み手に合わせて創るものであるはずだと考えています。
竹田恭子(たけだきょうこ)/1941年東京都生まれ。東海大学工学部建築学科卒業、菅原建築事務所、飯田建築設計室等を経て、独立後、花設計工房に参画。日本建築家協会会員、高齢社会をよくする会(WAI・21)、女性建築技術者の会会員。
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