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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 女流建築家の提案プラン > 採光と換気で健康的に暮らす
女流建築家の提案プラン 05
建物の趣味や好みは人それぞれですがそこで健康的に暮らしたい、という思いは共通でしょう。
「健康な住まい」とは、建物本体と、そして中に住む人の生活と身体の健康が保てる家のこと。
今回は、健康な住まいに最も大切な「採光」と「換気」を確保するプランづくりについて考えます。
換気のポイントは、吸気(給気)と排気を上手く組み合わせることです。汚れた空気は吸気口がなければ排気されません。部屋の対角線上に2ヵ所の開口部を設けるのが換気効率はよいのですが(事例1)、それができないときは縦長のルーバー窓を設置すると上下の差で空気の対流が起こりやすくなります(事例2)。日本人は永い間すき間風の多い家屋の中に暮らしてきたため、最近のすき間の少ない家に住むようになっても、なかなか「換気をする」という生活習慣が身につきません。自然に若干の換気が行われるようにする工夫も必要でしょう(壁に換気ガラリを取り付けたり、通気性のあるシャッターを採用するのも有効です)。

太陽の光は、他の条件に優先して採り入れる工夫をしたいものです。自然光には明るさや暖かさだけでなく、大変な殺菌力や除菌効果もあるのです。敷地の広さや立地条件により、側面から十分に採光できない場合は天窓で補う方法があります(事例1)。「逆転プラン」なら、リビングやダイニング、階段にまで天窓をとることができます。部屋の中が明るいということは空間の広さが出るということ。精神面での健康にもつながるでしょう。明るいと部屋の中が清潔かどうかもすぐに分かります。
(渡会有子)。

 

住宅密集地に建っているこの家は、1階の日当りの悪さ、西側の道路を走る車の騒音が悩みでした。夫婦の老後の生活に備えてリニューアルしたいというご要望で、思い切って「逆転プラン」を採用し、キッチン、リビングダイニング、寝室や浴室などの生活空間をすべて 2 階にもってきました(平面図はリニューアル後の 2 階部分)。高齢になったら上下移動のない1階を生活の場にと一般的には考えますが、このように住宅密集地などの場合では、1日の大半を過ごす場所は明るく風通しのよい2階の方が健康的といえるでしょう。
この家では、両サイドに外開き窓のある出窓、ルーバー窓、室内ドアの上部に設けた外倒し窓(図 2 )など、いろいろな窓を上手に使って空気の流れを作り、部屋のニオイや汚れた空気を排出して常に新鮮な空気を取り込めるようにしました。日照については、隣家が迫っていて側面からの採光が十分にとれないので、リビング、ダイニング、階段に天窓を取って補っています(図1)。特に階段の天窓は暗くなりがちな足元を明るくするので、「階段の上り下りはむしろ以前より安全に、楽になった」と奥様は話されています。


事例1のダイニングキッチンです。天窓から自然光が入り、1階にダイニングがあったときと比べものにならない程明るい空間になりました。逆転プランでは、2階の天井上は屋根になるので、天窓の設置が楽にできます。天窓からは、側面からの採光に比べて3倍の光を採り入れることができます。また、2階は通常、隣近所の視線から逃れることができる上、窓からの景観もよくなることが多いようです。


寝室ドアの上部に「外倒し窓」(ランマ)を設けて、常に少し開けた状態にしてあります。さらにドアの下端に1.5cm程度のスリットを設けておくと、ここから吸気し、外倒し窓から排気するという空気の流れができます。

ルーバー窓というのは奥行き10cmほどのガラスが揃って角度を変えることで、開け閉めの調整ができる開口部です。事例2のお宅の場合は、リビングに2ヵ所の開口部が設けられなかったため、縦長のルーバー窓を設置しました。窓の上部から排気され下部から吸気されるので、この窓1枚で部屋の空気に循環が起こります。このような場合、上下の差が大きくなるようにできるだけ縦長にしたいものです。寒冷地は別として、冬でも常に5〜7mm開けておくようにすすめています。また、若干の角度をつけて開けておくと、お隣の1階からはもちろん2階からの視線もさえぎることができます。ルーバー窓は、トイレや浴室などにも適しています。


企業組合 花設計工房
1972年設立の東京パースを前身に、1988年、女性建築技術者の会を通して知り合った仲間たちにより、企業組合 花設計工房設立。以来、生活に視点を据えて、住宅設計を中心に大工さん、職人さんとのコミュニケーションを密にした現場監理を行っています。「家は買うものではない」でメンバーの意見一致。住み手に合わせて創るものであるはずだと考えています。
渡会有子(わたらいゆうこ)/1940年中国・青島生まれ。中央工学校建築設計科を経て、NPO高齢社会をよくする会(ウェイWAY21)代表。女性建築技術者の会会員。
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