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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 女流建築家の提案プラン > 「家事」をラクにする工夫
女流建築家の提案プラン 09
毎日の暮らしの中で、否が応でも「家事」が生じます。
そして、健康的に快適に暮らすためには、日々家事をこなしていくことが不可欠です。でも、毎日のことだから時間が十分にとれないことも体調がよくないこともあるでしょう。
今回は、そんな待ったなしの家事を少しでもラクに合理的に行える家づくりについて考えます。

片付けをラクにする基本は、使う部屋に収納場所を作り、ムダな動きをなくして歩く距離を少なくすることです(事例1)。また、家族構成や誰が何の家事をするかによっても収納場所の高さや動線の取り方が変わります。キッチンを例にとると、家族の中の誰が調理や片付けをするのか、皆でするのかによって、カウンターや収納棚の高さ、カウンターの背後の距離間が変わってきます。1人で作業するのなら、最低距離間は80cmくらいがよいとされています。料理をしているときに誰かが背後を抜けるには110cmくらい取ればよいのですが、単に広くとればよいかといえばキッチンについてはそんなことはないのです。広すぎると振り向くたびに歩くことになり、疲れてしまいます。

もう1つ忘れてはならないのは、家事をする人にとって、合理的な収納や動線であると同時に家事をする場所が明るく、やる気にさせてくれる環境であるということではないでしょうか(事例2)。そんな工夫をした事例を紹介いたします。

(竹田恭子)


 
スキップフロアタイプの住宅のリフォーム例です。夫妻と子ども3人の5人家族の生活は、衣類やモノがあふれていました。洗濯、洗濯干し、乾いた衣類の分配、アイロンかけ、季節外の衣服の入れ替えなど衣生活だけとっても相当な家事量です。和室は夫婦の寝室、書斎、着替え室として使われています。ご主人の仕事柄、書籍がたくさんあり、これらの収納も考えなくてはなりませんでした。そこで屋根勾配に合わせて天井を張り、広いロフトを設けました(図1)。梯子で上るとL字型に本棚、下から見えない部分は季節外の収納スペースです。出窓には畳下を掘り下げ、足が下ろせる書斎コーナーを作り、その手前は寝具入れです。この部屋で多くの用事が完結できるようになっています。また、造り付け収納やふすまによって生活感のある物をすべて隠せるので、来客用としても使え、和室本来の多目的な部屋になりました。  


ロフトのある2階の和室。夫婦の寝室に、着替えの場に、読書やテレビ鑑賞の場に、来客用にも使用。右側のふすま4枚引きの中には書籍やビデオがぎっしり入っています。ロフトの腰板の裏にはカウンターがあり、箱や衣類を収納できます。

踊り場を洗濯干しコーナーに

この家の中で一番風が抜けるのが、階段の踊り場だというご家族の話でした。そこで、踊り場の天井を平らにして電動で上下する洗濯竿を取り付け、雨の日などの干し場にしました(図2)。洗濯物を干すとき、取り込むときには下げて作業をし、干しているときには天井一杯に上げておきます。コーナーを利用して低い棚を作り、洗濯用具と乾いた洗濯物をたたんで置いておくスペースにしました。各自が自分の部屋に持っていくので、とてもラクになったと奥さまに喜ばれています。
踊り場を利用した洗濯物干しコーナー。上の部屋の引き戸と踊り場の窓が直線上にあるため、風が抜け洗濯物がよく乾きます。除湿機と換気扇も設置。

夫婦と幼稚園から高校生までの子ども4人の6人家族のお住まいです。この一家にとって、今は家事がとても大変な時期。食堂を中心にした住まいで、同時に他の家事も合理的に解決できるプランにしたいという要望でした。時間がずれる朝食は、対面カウンターで済ませられるようにキッチンを配し、台所仕事の合間に洗濯作業ができるような動線になっています。洗濯場は手洗いシンクや乾燥機、アイロン台も造り付けた家事室にし、雨の日には洗濯物が干せるようにパイプも取り付けてあります。広い面積をワンフロアにすると(この家の場合1階は店鋪)、どうしても北側に暗い場所ができてしまいがちです。この家事室のある場所もまさしくそういう場所。作業をするのが「おっくう」にならないように天窓を設けて明るくしました。家事室からは洗面所、浴室へとつながり、浴室にも開閉式のトップライトをつけているので、明るい上にいつうかがってもカラッとしてカビも生じていません。

↓台所から家事室、洗面所、浴室へと短い動線で移動できる配置。家事室、浴室、キッチンの対面カウンター上部にそれぞれ天窓をとっています。


↑食堂を中心にした間取り。子ども室の一部は可動式の間仕切りとし、将来1つの部屋として使えるように。台所の隣に家事室を配置。この家の主婦は「マメに家事をこなせるようになった」と話されます。


企業組合 花設計工房
1972年設立の東京パースを前身に、1988年、女性建築技術者の会を通して知り合った仲間たちにより、企業組合 花設計工房設立。以来、生活に視点を据えて、住宅設計を中心に大工さん、職人さんとのコミュニケーションを密にした現場監理を行っています。「家は買うものではない」でメンバーの意見一致。住み手に合わせて創るものであるはずだと考えています。
竹田恭子(たけだきょうこ)/1941年東京生まれ。東海大学工学部建築学科卒業。菅原建築事務所、飯田建築設計室等を経て独立後、花設計工房に参画。日本建築家協会会員、高齢社会をよくする会(WAI・21)、女性建築技術者の会会員。
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