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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 暮らしのセンスアップ講座 > 基本をおさえて和食器と上手につきあう花 
暮らしのセンスアップ講座 10

和食器は、サイズも形も材質も多種多様。多国籍なメニューが並ぶ、日本の食卓にぴったりです。ふだん使いの和食器の魅力と基本について、和食器店オーナー・内木孝一さんにお聞きしました。

和食器は、シリーズもので揃えられる洋食器と違い、どのように選んで使いこなせばよいのか、迷う人も多いようです。難しそうに見えますが、器の性質やお手入れ法さえ覚えれば、とても自由に楽しめるのが、和食器の魅力です。
和食器には、大きく分けると陶器(土もの)と磁器(石もの)があります。陶器は柔らかなぬくもりを感じさせますが、土の粒子のスキマがあるため、吸水性が高く、ややもろい性質です。これに対して磁器は、水を弾き、透光性もあり、ややシャープな冷たい感じがしますが、陶器よりも丈夫です。それぞれの性質によって、お手入れ方法も異なります(別コラム参照)。

備前焼や信楽焼などの焼締の陶器を除き、陶器も磁器もほとんどの器には、素焼き後に釉(うわぐすり)がかけられます。釉をかけて焼成すると、釉の層が薄いガラス状の皮膜となるため、器の材質を丈夫にし、水漏れしにくくなるのです。また、器の色や光沢、肌合いをさまざまに変化させる装飾効果があります。陶器の場合は釉のムラも味わいですが、磁器を選ぶ際は、注意してください。釉が垂れたり、まだらになっていないか確認しましょう。特に無地のものは釉のかかり具合がよく目立ちます。
陶器は、土や釉の種類、焼成温度の違いによる、様々な味わいが魅力。抹茶碗は、お茶以外にも工夫次第で色々な使い方が楽しめます。手前のようなクチの開いた平茶碗は、向付や菓子器、スープボウルにもぴったりです。立ち上がった形の筒茶碗は、ごはん茶碗に転用してみてはいかがでしょう。

  陶 器  磁 器
 
 原 料 粘土    原 料 陶石を粉砕したもの(粘土と混ぜることもある)
 吸水性  あり    吸水性  なし
 素 地 粘土の色(茶色が多い)。透光性はなく、多孔質    素 地 白。透光性があり、硬質で、気孔は少ない
 代表例 志野(しの)、織部(おりべ)、黄瀬戸(きせと)、唐津焼(からつやき)、薩摩焼、萩焼    代表例 美濃焼(みのやき)、有田焼、瀬戸焼、九谷焼(くたにやき)

器のお手入れ法

新しい器を買ってきたら
 陶 器  土の粒子のスキマに入り込んだホコリや土をよく洗い流し、たっぷり水を入れた鍋で約30分煮沸します。米の研ぎ汁を使うと、土の目が埋まるので効果的。ゴトゴトと器が踊るほどの強火にはしないよう注意してください。
 磁 器  熱めのお湯で充分洗い流し、柔らかいスポンジなどで軽くこすります。色絵や金彩などを傷つけないようにしましょう。

使うときに毎回気をつけること
陶器の中でも特に焼締(ヤキシメ)は、油や汁がしみこみやすいので、使う前に30分ほど水につけておきます。陶器や上絵は、電子レンジを使用しないでください。

仕舞うときの注意点
普段よく使うものを、形別に整理し、5〜6枚を限度に重ねて仕舞います。材質の異なるもの同士を重ねると、傷の原因になるので避けましょう。特に軟質の陶器や上絵などは、もともと傷つきやすいので、丁寧に扱いましょう。

一器多用に楽しめる中鉢は、食卓には欠かせません。使用頻度が高いだけに、いつも同じ使い方で飽きがくるもの。磁器と陶器を色々そろえて、違いを味わいましょう。手間の4点が磁器で奥の土色の1点が陶器(信楽焼)。
陶磁器には、絵柄の入った器があります。釉の下に描いたものを「下絵付」(したえつけ)、上に描いたものを「上絵付」(うわえつけ)といいます。どちらも、コストを下げるため機械でプリントするケースが増えています。一見まったく同じ器なのに値段が違う場合は、高い方が手描きで、安い方がプリントであると考えてよいでしょう。とはいえ、器の機能は同じで、プリントでも非常によくできたものもあるので、どちらを選ぶかはあなたの価値観にお任せします。

器を買うときは、服を選ぶのと同じような感覚で、既に持っている器との相性を考えてください。わからないことがあったら、お店の人によく聞いてみましょう。大抵は、丁寧に説明してくれます。

以上の基本事項をおさえていれば、あとは気楽に自分の好きなように使って大丈夫。ふだん使いの食器は、美術品とも茶道や儀式の世界とも別モノなので、自由な発想で構いません。「この中皿にはお刺身を盛ってもいいのかな?」というような迷いは無用です。

和食器は個性が強いので、洋食器とコーディネートするときは、和食器を主体に選ぶと、合わせやすいようです。また、ガラス器や漆器なども、あなたのセンスで取りいれてみましょう。

冬にはぬくもりのある陶器を、夏には白くて涼しげな陶器を中心に使うなど、季節感も楽しめます。器に描かれた四季折々の模様と、箸おきの形を揃えてみるのもよいでしょう。

どんなに忙しくても、どの器でもいいやと思わず、ちょっと考えるくらいの余裕をもってみてください。そうすれば自然とセンスも磨かれ、毎日の食事も美味しくなるはずです。
そば猪口は昔から、めん類だけでなく、湯呑、小鉢、調味料入れなど、多用器として使われてきました。アイスクリームやコーヒーなど、洋の雰囲気ともマッチします。お客さまに出すときは、ソーサーに木皿やコースターを使うとよいでしょう。



内木 孝一 Kouichi Uchiki
東京・青山の人気和食器店「大文字」オーナー。和食器に関するセミナーや女性誌などでの食器に関する企画・監修などでも活躍。企画・監修を担当した『見る、買う、使う 和食器選びの達人になる』(講談社)は、業界の教科書的存在。

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