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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 暮らしのセンスアップ講座 > 木の家具がつくる和のモダン空間 
暮らしのセンスアップ講座 16

古くより「木」を住まいに取り入れ、親しんできた日本人。
いま、若者を中心に卓袱台が人気を集めています。
日本伝統の「床座」の文化をもう1度見直し、古くて新しい和のスタイルを演出してみませんか?

日本の住まいはかつて、畳に卓袱台という「床座」のスタイルが主流でしたが、明治の近代化以降、居住空間が全面的に見直され、フローリングにテーブルといった西洋の生活様式へ移行していきました。しかし、家のなかで靴を脱ぐという「沓脱ぎ」の習慣は、根強く生き続けました。これは世界的にも珍しい生活文化ですが、日本は高温多湿な気候で、1日中靴を履いていると足がムレてしまうためなのです。くつろぎたいときは、靴を脱いで初めてホッとできるという人も多いことでしょう。初めのうちはソファに座っていたはずなのに、気が付くとソファを背もたれ代わりにして床に腰を下ろしていた、という経験はありませんか? イスやソファに腰掛けるよりも、床に直接座った方がくつろいだ気分になれるのは、自然な感覚なのです。

そうした日本人の特性が、イスに座る「イス座」と、床に座る「床座」という2つの「座る」スタイルを取り入れた、現在の暮らしを築きあげたといえます。
炉端テーブル
格子のふたを開けると銅版の炉があり、鍋料理のセッティングなどに便利です。また、自然のオブジェを飾れば、四季のうつろいを映したなごみの空間が生まれます。

座の書斎
リビングの一角に設けた畳ユニットに、飾り棚と文机を置いて、書斎にするアイディア。かつて、座して思考することが当たり前だった日本人の生活習慣の中から生まれた形です。書き物に専念するとき、床一面に資料を広げることができます。時にはイス座も楽しめる、自由なスタイル。床に座る人とイスに座る人の視線の高さをそろえることが大切です。
かつての床座の暮らしは、日本人の水平の感覚を育みました。床に座ると、人の目線は低くなり、視線は常に左右に移動します。この目線をもとに、日本の住まいはつくられてきました。一般に、西洋建築が垂直(タテ)のイメージなのに対し、日本建築や家具は水平(ヨコ)、あるいは直線を極めたデザインが中心になっています。建材にヒノキやスギが多く使われてきたのも、それらがまっすぐに割れるためなのです。

和室に限らず、洋の空間にも「和」の演出をしたいときは、卓袱台などの木の家具がお勧め。伝統の技や日本独自の美意識を生かしながら、洋室にも和室にも合うシンプルなデザインのものがたくさん登場しています。座ったときの目線に合わせて低めにまとめれば、より「和」のコーディネートに近づきます。そのとき、サイドボードの高さも卓袱台にそろえると、水平ラインが整理され、天井までの距離が広がり、空間が広く感じられます。

若者の間で卓袱台が人気なのは、1人暮らしの狭い部屋を少しでも広く使いたいというニーズに適っているためかもしれません。ダイニングセットやソファなどの西洋の家具は、使う目的が明確なので、空間の使い道が限定されてしまいます。それに対し、卓袱台は使わないときに折りたたんで仕舞え、空間を目的に合わせて自在に変化させることができるのです。日本の住まいとって、空間というのは何の性質も持たない、空っぽなものであることが基本。道具を持ち込むことによって初めて、部屋の用途・機能が決まるのです。卓袱台を置けば茶の間に、布団を敷けば寝室に、来客時には客間になり、フレキシブルに使えます。ときには華道など、和の趣味を楽しむ部屋にするのもよいでしょう。

また、季節ごとに暖簾や座布団カバーを交換したり、節句人形を飾ったりするだけで、部屋の雰囲気をガラリと変えることができます。サイドボードの上を床の間に見立てて、香炉や生花を置くのもよいでしょう。こうした日本的な季節感を大切にする美意識を生かす「しつらい」は、洋室にも応用できます。


卓袱台
「円」という形は基本的に「上座」をつくりません。和気あいあいとしたくつろぎ空間を演出するための和のエッセンスです。大正時代から戦後に至るまで、日本の住文化において「一家団らん」を象徴する家具であり続けました。たたんで仕舞うことができ、限られた空間を有効的に使えるのが特長。脚付きの座椅子を使えば、足が疲れません。

 

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合理的で機能的な「洋」の現代デザインと、沓脱ぎと床座に根ざした「和」の暮らし――この2つの調和から生まれる、新しい日本のスタイルに、ぜひ挑戦してみてください。

畳ベッド
畳の肌触りや通気性の良さを生かしたベッド。和室がなくても、イグサの香りに安らぎながら、眠ることができます。ベッドサイドのテーブルは、収納ボックスとして重宝するほか、座布団を置くことでイスにもなり、上蓋を外せばトレーとして使うこともできます。


写真提供=株式会社カシワリビング


原 逸朗 Itsuro Hara
広告代理店・萬年社専属プロダクションからアヴィ・アヴィエーション設立。スタジオでの空間提案を中心に活動。日立グループ、テクナのインテリアで中日新聞文化賞、東邦ガス鈴木清順バスキャンペーンでAPA金賞を受賞。イタリアの生活ブランド、アレッシショップ「アヴィギャラリー」をオープン。和心洋才をテーマにした創作料理店「こころ」を設計。最近は、フランク・ロイド・ライトのマンションエントランスを始め、キッチンを中心としたマンション開発プロデュースに専念。
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