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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 著名人が語る「私のこだわり空間」 > 音楽と暮らす 和太鼓奏者・指導者 島田明子
著名人が語る「私のこだわり空間」07




和太鼓奏者・指導者 島田明子さん

女性だけの和太鼓チーム「まむれ太鼓」を率いる島田明子さん。
ピアノ、電子オルガンなどさまざまな楽器とのつき合いの果てにめぐり合った運命の楽器一一一和太鼓。音楽のホールのあるご自宅と、練習会場を訪ねました。
和太鼓奏者・指導者 島田明子さん 「まむれ太鼓」代表。1988年「まむれ太鼓」を結成し、コンサート活動のかたわら群馬県内13団体の太鼓指導。(財)日本太鼓連盟 群馬県支部会長。著書に『和太鼓入門 響け! まむれ太鼓』(音楽之友社)。1940年生まれ。
中2階のリビングから階段を上がると2階にキッチンとダイニングという逆転プランの設計。ダイニングの床はコルクタイル。
 
女性和太鼓チームの草分け的存在として知られる「まむれ太鼓」。島田明子さんは、結成14年目を迎えるチームの代表者であり、和太鼓の指導者でもあります。

子供の頃からピアノに親しみ、長く電子オルガンの講師を務めてきた島田さんが、和太鼓と出会ったのは20年ほど前のこと。40歳過ぎのことでした。

それは、ピアノ、電子オルガン、お琴、津軽三味線などさまざまな楽器と触れ合ってきた島田さんに、かつてない衝撃を与えました。

「感動でした。夢中になりましたね。こんなに魅力的な楽器があったのかと。電子オルガンというのは、譜面を見ながら両足、両手、目も頭も全部使って演奏するわけですよね。ところが和太鼓は、打つことだけに集中する。打っているときには頭の中は真っ白なんです。無心にならなければ怪我をしますからね。それに、無心に太鼓を打つことは心のケアにもなっているように思います。太鼓と出会うまで私にとって音楽は、音を学ぶ音学≠セったんですね。初めて音を楽しむ本当の音楽≠知った気がします」

島田さんは急速に和太鼓にのめり込んでいき、同じく和太鼓が大好きな2人の女性と出会って、1988年、「まむれ太鼓」がスタート。長野オリンピックの閉会式出演を果たすまでに成長しました。
群馬を逆さに読み、柔らかさを出すために平仮名で「まむれ太鼓」と命名されました。写真の太鼓は長胴太鼓。

珪藻土壁のピンク色と屋根や庇に使われた緑青銅板の緑色が美しいコントラストを見せる外観。右上に見える楕円形が音楽ホールの窓。

 
家の中で1番のお気に入りの場所、という玄関ホールで。ガラス窓は開くことができます。後ろに見えているのが音楽ホール。
玄関ホールの突き当たりは吹き抜けになっていて、そこから1階の音楽ホール入り口を眺めたところ。廊下幅は以前住んでいた家と同じで「引っ越したときから違和感がなかったですね」。
群馬県前橋市のご自宅は、ピンクの珪藻土の外壁が印象的な建物。中2階にある玄関先に現れた島田さんは、ソフトな声に楚々とした風情の女性です。

「初対面の方は驚かれるようですね。太鼓を打つようには見えない、事務局の人ですかぁ、なんておっしゃる方もいて(笑)。でも、バチを持つと人が変わると言われますよ」

という島田さんですが、太鼓の練習はメンバーと一緒に前橋市の公共施設でされ、自宅で太鼓を打つことはありません。

「この家の1番の特徴は、主人の郷里である栃木の大谷石を、床と壁の一部に使っていることです。石は水分を吸収してくれますし、足触りもとても良いので、素足で過ごせて気持ちがいいですよ。床暖房にも効果的なようです」

5年前にこの家を新築するとき、島田さんがリクエストしたのは「楽しい家、飽きない家。そして、玄関から庭が見えたらいいなぁ」ということだけでした。その希望通り、玄関ホールには天井までのガラス窓が取り付けられ、テラスに植えたシャラ(夏椿)の木が、1枚の絵のように眺められます。さらにその後ろには、前の家から移植した古い木々が生い茂り、1階、中2階、2階のどの部屋からも見える設計です。そして、「楽しい家」というリクエストに応えて造られたのが、プロの演奏家も招ける「音楽ホール」だったのです。

居住スペースから離してプランニングされた「音楽ホール」。赤、青、グレーの布(家具用の張り地)をかけた吸音板がアクセントになっています。ドラムは、「編曲するためには楽器を知らなくては」と、勉強が高じてついに購入したもの。太鼓は練習用の無音太鼓です。



高い天井と壁に取り付けられた赤、青、グレーの吸音板。楕円形の窓。床材はここも大谷石。モダンで個性的な空間です。

「プロのジャズドラマーを招いてコンサートを開いたこともありますよ。小さいけれど音響のいいホールだね、と好評でした。20人分しか椅子が入らないところに60人もお来しいただいてうれしかったですね。このホールは私が楽しむだけじゃなくて、みなさんに気軽に音楽を楽しんでほしいと思っています。最近は近所の高校生がドラムの練習に来ていますよ」

2年ほど前、島田さんは2度、大きな手術をしました。それまで、年に20回から30回もの舞台をこなし、請われれば海外へも出かけて演奏し、群馬県内あちこちの太鼓チームの指導に駆けずり回り、自宅では作曲や編曲と、超多忙な生活を送ってきました。現在は、仕事を制限しながら、CDを制作中です。

「メンバーの誰もが作曲までできるようになってほしいと願ってきましたが、実現しつつあります。アプローチの方法だけ学べば後は自分でイメージをふくらませていけばいいのです。好きだったら作曲だってできちゃいますよ」練習会場で太鼓を子守唄にすやすや眠っていた3代目(メンバーの孫)たちに、島田さんのこの思いはしっかりと受け継がれているようです。



舞台での「まむれ太鼓」と、バチを持った島田さんの勇姿。ボランティアで福祉施設への訪問演奏からモロッコ、フランスなど海外演奏まで幅広く活動し、1998年には労働大臣賞を授賞。
音楽ホールの戸を開けると、外の階段は鑑賞席になっていて、気候の良いときには野外音楽堂の雰囲気も楽しめます。
20歳代〜60歳代までのメンバー。島田さんの向かって左の登坂さん、右の篠崎さんが共に「まむれ太鼓」を発足させた強力な仲間。3人3様の個性がチームを長続きさせています。

前橋アクティー(勤労青少年ホーム)練習会場。左足を上げて太鼓を打つ「足上げスタイル」は「まむれ太鼓」の特許。表情も豊かで、女性ならではの「聴かせるだけでなく見せる太鼓」。

軽装に着替えバンダナ姿の島田さんは、表情、声の張りや大きさ、動きまでまさに「変身」。厳しく、やさしくメンバーを見守り、そして誰よりも楽しそうな島田さん。
写真= 宮尾飛古
PHOTO=Hiko Miyao
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