インド女性や砂漠の民をモチーフにした素描や油彩、とりわけ壁画に絶大な人気のある田村能里子さん。ホテル、病院、音楽ホール、老人ホーム、学校、お寺、豪華客船、競馬場。人の集まる様々な空間に生み出した壁画の数は現在、国内外で約35点にのぼり、旅行会社の企画する「田村能里子の壁画鑑賞ツアー」も盛況です。
田村さんが初めて壁画に挑んだのは、中国・西安のホテル。縦1・6メートル、横60メートルもの大壁画をロビーの四方に描きました。冬場は零下10度にもなる吹きさらしの中、不安定な足場の上で、それもたったひとりで。
「結局1年半もの時間がかかったのですが、中国だからこういうスケールの大きなものができたのでしょうね。その後、帰国してから日本でも次々に壁画の依頼をいただくようになりました。壁画を描き始めてまだ13年くらいですが、毎年3、4点ペースで描いてきました」
赤系統の温かみのある色彩と優しい雰囲気はどの壁画にも共通のものですが、田村さんが何よりも大切にしているのがその壁画の置かれる環境、訪れる人たちの心境です。
「カンバスに描く絵は個人のものですが、壁画はそこを訪れるすべての人のものですからね。訪れた人同士が絵の前でコミュニケーションでき、和めるようなものを描きたいと思っています」
いったん壁画の仕事にかかると何ヵ月も現場近くのホテルに泊まり込み、朝から晩まで黙々と絵筆を握る毎日。孤独な作業です。
「だから自宅にいるときには、どんなに忙しくても時間をやりくりして人を呼びたいのね。みんなが集まって人の輪に中にいるのが好きなんです」
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田村さんの絵がラベルに採用されたイタリアの赤ワイン。ワイン好きの友人を集めて試飲会を兼ねたパーティーも催しました。 |
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玄関からリビングとテラスを見る。玄関右手がアトリエとプライベート空間。低い位置にもアンティークな調度が配されています。 |
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2001年制作の青梅・慶友病院壁画「春秋遊々」 部分(ポストカードより) |
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