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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 著名人が語る「私のこだわり空間」 > パーティーを開こう 画家 田村能里子
著名人が語る「私のこだわり空間」08




画家 田村能里子さん

壁画で有名な画家の田村能里子さんは、絵筆を握る合間に
インテリアをコーディネートし、人を招くのが大好き。
彩りと遊び心にあふれた「招き」のセンスを拝見します。
画家 田村能里子さん 1966年武蔵野美術大学油画実技専修科卒業。インド滞在、文化庁の北京留学を経て、ホテル「唐華賓館」の壁画を制作。他の代表作に横浜MM21コンサートホール、豪華客船「飛鳥」など。1944年愛知県生まれ。
「壁画は私の命より長く生きつづける。次の時代の人にもその次の時代の人にも…」と語る田村さん。アトリエにて。
 
インド女性や砂漠の民をモチーフにした素描や油彩、とりわけ壁画に絶大な人気のある田村能里子さん。ホテル、病院、音楽ホール、老人ホーム、学校、お寺、豪華客船、競馬場。人の集まる様々な空間に生み出した壁画の数は現在、国内外で約35点にのぼり、旅行会社の企画する「田村能里子の壁画鑑賞ツアー」も盛況です。

田村さんが初めて壁画に挑んだのは、中国・西安のホテル。縦1・6メートル、横60メートルもの大壁画をロビーの四方に描きました。冬場は零下10度にもなる吹きさらしの中、不安定な足場の上で、それもたったひとりで。

「結局1年半もの時間がかかったのですが、中国だからこういうスケールの大きなものができたのでしょうね。その後、帰国してから日本でも次々に壁画の依頼をいただくようになりました。壁画を描き始めてまだ13年くらいですが、毎年3、4点ペースで描いてきました」

赤系統の温かみのある色彩と優しい雰囲気はどの壁画にも共通のものですが、田村さんが何よりも大切にしているのがその壁画の置かれる環境、訪れる人たちの心境です。

「カンバスに描く絵は個人のものですが、壁画はそこを訪れるすべての人のものですからね。訪れた人同士が絵の前でコミュニケーションでき、和めるようなものを描きたいと思っています」

いったん壁画の仕事にかかると何ヵ月も現場近くのホテルに泊まり込み、朝から晩まで黙々と絵筆を握る毎日。孤独な作業です。

「だから自宅にいるときには、どんなに忙しくても時間をやりくりして人を呼びたいのね。みんなが集まって人の輪に中にいるのが好きなんです」
田村さんの絵がラベルに採用されたイタリアの赤ワイン。ワイン好きの友人を集めて試飲会を兼ねたパーティーも催しました。

玄関からリビングとテラスを見る。玄関右手がアトリエとプライベート空間。低い位置にもアンティークな調度が配されています。

2001年制作の青梅・慶友病院壁画「春秋遊々」 部分(ポストカードより)

 
終始、明るく朗らかな語り口で人を和ませる名人の田村さん。


どのコーナーも1枚の絵のよう。自作の油彩を中心にタイの調度品で南国風に。
バンコクで買ってきた布を日除けのテントに。
「何事につけても"こうあらねばならない"というのが嫌いなんです」という田村さん。インテリアも柔軟に発想します。「アメーバみたいに形の変わるものや、形を面白がれるもの」を選んで。その発想がなかったら、古いピアノの脚をとってテーブルにしようなどというひらめきが生まれるはずがありません。

「倉庫に入っていた古いグランドピアノを友人がパーティーをするときに借りてきて、戻すのにもお金がかかるから誰か持ってかない、というので(笑)。脚をとれば高さがちょうどいいし、あの形が面白いでしょ。人が周りに座ったときに単に四角いテーブルよりも場が和む気がしますね」

同じく納屋に眠っていたのを目覚めさせ、テレビの収納棚として使っているのが、お義父さまが愛用されていた旅行用トランク。閉じれば誰もそうと気づかず、装飾と収納を兼ねたインテリアとなって、室内に見事に調和しています。

インド、中国、タイで暮らし、現在も絵の取材などでアジアを訪れることの多い田村さん。先々で買い求めた調度品が住まいのいたるところにさり気なく飾られています。中でもユニークなのがテラスの布使い。

「布が大好きで、インドやタイへ行くとすぐに買うからどんどんたまってしまうのね。仕舞っておくのはもったいないから、毎年2枚をシーツに張ってテラスのテントにしているんです。日除けにするのと同時にお花の代わりの彩りとして。忙しくてお花の手入れをしていられないけど、カラフルな布が1枚あるだけで、同じくらい華やかですよ」




一般の人には珍しい辺境の地への旅行が多い田村さんは、帰国後たいてい土産話を肴にパーティーを企てます。最近はシルクロード旅行の後に、北京ダックを囲む会をひらき、お友達が11人集まりました。

「みんなに何か少しずつ持ち寄ってもらうんです。中華のチマキを作ってくる人、皮を買ってくる人、中華風のサラダを作ってくる人、ネギだけ背負ってくる人(笑)ね。テーブルのコーディネートは私の得意な分野だから、これだけはちょっと譲れない。料理はタッパーで持ってきてもらって、家の器に盛り付けます」

さらに田村流パーティー演出の極意は、ホストもゲストもテーマに合わせた衣装で雰囲気を盛り上げること。高価なブランド物をまとってくる人はいないけれど、アクセサリーなどは思いっきりアジアンチックなものでおしゃれして集まります。

最初のセッティングだけがホストである田村さんの仕事。招かれた人同士、対話の風が吹き始めれば、後はそっと微笑みながら見守るだけです。壁画の場合と同じように。


ピアノのテーブルが存在感を放つリビングルーム。奥のソファセットはご家族が50年以上も前にアメリカで使っていたものに、田村さんがインド滞在中使用していたカーテン生地を張ったもの。そんな様々な「地域」と「時間」が仲良く同居する空間。
10年以上続けている「華麗なるカレーパーティー」。

インドのサリーをダイニングの天井に飾りつけて。「ゆくゆくはこの天井に壁画を描いて愛でる会をやりたいわ」。
写真=石内スタジオ
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