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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 著名人が語る「私のこだわり空間」 > 光を感じて暮らす 華道家 假屋崎省吾
著名人が語る「私のこだわり空間」19




華道家 假屋崎省吾さん

「花は心のビタミンです」をキャッチフレーズに活躍する当代きっての人気華道家、假屋崎省吾さん。表参道の自邸兼教室には少年の日からの夢が詰まっています。
華道家 假屋崎省吾さん 美輪明宏氏に「美をつむぎ出す手を持つ人」と評される。インテリアやディスプレイの部門でも数々の賞を受賞。クリントン前大統領来日時、天皇陛下御在位10年記念式典などの花の総合プロデュースを務める。テレビ「中居正広の金曜日のスマたちへ」にレギュラー出演するなど幅広く活躍。假屋崎省吾花教室主宰。著書多数。
中庭だった場所に増築した明るいリビングで。室内は靴ばきのままの欧風スタイル。エレガントな容貌のなかで手の大きさが印象的です。「華道は力仕事ですから」
華道歴20周年を迎え、個展や出版などイベントが目白押しの假屋崎省吾さん。テレビの高視聴率番組にもレギュラー出演し、いけばなと無縁のファンも増えています。海外の要人来日時に花の総合プロデュースを務めるなど脚光を浴びる仕事の一方で、表参道の自邸でもある花教室では、初心者からプロまで約400人の生徒さんに假屋崎さん自ら教えています。

「北海道から沖縄まで、全国から生徒さんがいらっしゃいますので、表参道でお稽古というのはうれしいんじゃないかと思いまして。私自身も東京郊外に生まれ育ちましたから、何が何でも山の手線の内側に住みたいという気持ちがありました(笑)。この家は中古住宅に改装を重ねたもので、昨年の春には中庭だった場所に2つ目のリビングを増築しました」

三方の窓、ガラスブロックの天窓、吹き抜けから注ぐ光の中で輝く大理石の床。アンティークのソファやシャンデリア。日常空間にしてはあまりにゴージャス…

「それはすべて小さい頃の反動です(笑)。父は公務員で棟割長屋の借家暮らし。それなのに釣りが好き、カメラが好きで美味しいものが好き。母親は美しいものが大好きで音楽会へ行ったり美術館へ行ったり。お給料を全部使っちゃうから家には1円の貯金もない。私は小さい頃からお城とかヨーロッパの家具とかが大好きでしたから、どうして家は借家でこんなに小さい家なんだろうって。それである日、両親にお説教をしたんです。節約しましょう。節約して頭金を貯めて家を買いましょうって」

家計簿をつけ、ローンを組み、ついに所沢に新居を購入。しかし、建売住宅は假屋崎さんのお気に召すものではありませんでした。
ダイニングに活けたデンファレ。器はガラスのコンポート。1束450円の身近な花もこの華麗さ。

最近のリフォームで、南側に新しく設けた玄関アプローチ。渋谷にも表参道にも歩けるロケーションにして、静かな環境がお気に入りです。


らせん階段を上がると屋上庭園。ここでブランチを…という思惑も、引く手あまたの現在の忙しさでは実現しそうもない。「人生なんて、あっという間に過ぎちゃうから、一瞬一瞬、一生懸命やりたいの」
早稲田大学在学中に草月流のいけばなと出会い、師事する勅使河原 宏氏からその才能を高く買われた假屋崎さん。次々と活躍の舞台が与えられ、いけばな界に新風を巻き起こす時代の旗手として多忙な日々を送るようになります。

「所沢に引っ越した後、父親が心臓病で他界し、母と2人で10年間暮らしていたのですが、帰れない晩が続いたりタクシーで帰ったりするようになって。これはムダだと思い、都内の池ノ上というところに、著名な建築家さんに頼んで3階、4階を教室にした4階建ての家を建てたんです。これで母親と少しでも一緒の時間が持てると思ったのですが、引っ越しの前日に母は他界して。新居からは結局、お葬式を出しました」

コンクリート打ちっぱなしでガラスを多用したモダンな建築でしたが、いつしか無味乾燥な感じに物足りなさを感じるようになり、その頃からアンティーク家具を買い集めるようになりました。

そして念願の表参道の邸宅へ。いまから3年半前のことです。

一際ゴージャスな広い方のリビング。クラシカルで格調の高い家具、鏡、シャンデリアに、ユリの投げ入れが映えます。鏡の右横は、枯れたオーガスタの葉を金色に染めたもの。

地下のトイレは金色の壁!花教室の生徒さんたちも利用します。
猫の置物が出迎えてくれる玄関ホール。「飾り棚の下段のバラはプリザーブドフラワーと言って、永遠の花。家中すべて生花でなくてもよいのです」

リビング側からダイニングを眺める。この日はピンクのコーディネートで。

敬愛する美輪明宏氏の写真を集めたコーナー。



2階の書斎。右手のバラはアートフラワー。「生花じゃなきゃ、なんて堅物の言うこと。アートフラワーだって美しいんです」。机の上には愛猫のプリちゃん、リラちゃんとのスリーショットの写真。家中に猫のオブジェが飾られ、花にも劣らぬ猫好きの一面が伺えます。「私、後継ぎはつくりません、一代限り。遺産はすべて猫に」

現在の家のインテリアは白とゴールドが基調。部屋と部屋は扉で閉じないで全部つながっています。そうすると限られたスペースでも広さを感じさせるからです。お客様がとても多いので、靴は履いたまま上がれる床材に。そして、各部屋にシャンデリア、鏡、花。

「美しいものを提供するのが仕事ですから。私にとってここは日常の暮らしの場ですが、お客様にとっては非日常の雰囲気のする晴れの空間にしたかったんです。壁にはボタニカルアートを飾り、つねに音楽も流しています」

思ったよりも花は主張していないように感じられます。

「花屋ではありませんから(笑)。花はあるべきところにあればいいのです。ご家庭で花を飾る場合には、一花一葉といいますけれど、1輪の花と1枚の葉っぱを一輪挿しに活けたような簡単なものから、リビングであれば少し大ぶりな器にボリュームのある花をバサッと入れたり。洗面所や寝室はサラサラした清々しい感じのものがいいでしょうし、メリハリをきかせるんです。料理のコースと思えばいいわけですよ。最初からメイン料理が出るというのは考えられないでしょう? 前菜が出て、口取りが出てという具合に、花も活ける場所によってボリューム感を変えるというのが大事なことです」

いつも優雅な雰囲気の假屋崎さんですが、「実はとても短気なの。特に花を活けているときは集中していますから、お手伝いしてくださる方もモタモタしているのはイヤなんです。活けているときは怖いんですよ」とのこと。花を活けるスピードも定評のあるところですが、それは「花を手に持てば、花が活け方を教えてくれる」から。花に対しても人に対しても、相手の個性を尊重し、決してがんじがらめにしない。その優しさが、繊細で伸びやかな假屋崎ワールドの基盤になっています。
地下の花教室の一角。いけばなの上達だけでなく、美意識を養う。

假屋崎さんの6冊の著書。左上から時計回りに、『ユリを愉しむ』(同朋舎出版)、『假屋崎省吾の花スタイル』(日本放送出版協会)、『花時間 花・葉・器・自由自在』(角川書店)、『白雪姫』(新風舎)、『花筺』(メディアファクトリー)、『花夢中』(六耀社)。さらに今秋には自叙伝やDVDなども発行の予定です。

詳しくはホームページをご覧ください。
假屋崎省吾花教室
http://www.kariyazaki.jp/


ダイニングから増築したリビングを見る。四方から差し込む光が大理石の床をきらめかせて美しい。正面奥は駐車場で「すりガラス風に見えるのは、実はガラスに花柄のフィルムを貼ったもの。私のアイデアなんです。土地が高いから、それ以外は経済的に」


写真=平山 順一
photo=Jun-ichi Hirayama
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