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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 著名人が語る「私のこだわり空間」 > 花々の生命力に触発されて 女優 左 時枝
著名人が語る「私のこだわり空間」32


花々の生命力に触発されて

花やグリーンの自然とアートを楽しむ 女優 左 時枝さん

独持の審美眼と表現力をもつ女優の左時枝さん。花を描くアーティストとしても活躍する彼女の暮らしは、優しさとエネルギーに満ちています。
左 時枝
「育てるのは小さく可憐な花も好きですが、描くのは大きい花が好き」と語る左さんの絵は、鮮烈な色と力強いタッチが魅力。「100号に描くこともあります」。
花の生命力を描きたいんです。生命を宿す花芯は、まさにその象徴。時間とともに変化していく姿に、人生を見いだしますね。

花と向き合うことで
新たな活力を得る

「去年描いたクリスマスローズの色を、今年また塗り直したんです。去年は買ってきたままの状態で花を描いたのですが、そのあと自分の手で一年間育てて…。過酷な夏を越えて再び咲いた花は、生命力がみなぎっていて、花自体も、それを見る私の目にも、まったく違う表情に映ったんですよ」。

ここは左さんのお宅にある一角、彼女のアトリエ専用のスペース。何枚もの絵が置かれた空間は、濃密な空気でいっぱいです。それは、色彩の豊かさに加え、被写体である花々と、それらを描く左さんが放つエネルギー。そして今着手しているのが、富山県の友人が送ってくれたという早咲きのチューリップです。もう少ししたら、左さんが植えた球根のチューリップ約50本も、一斉に開花するとか。

「つぼみから徐々に花開き、咲き乱れ、そして老いていく…。花の姿は、刻一刻と変化していきます。その一瞬を切り取るとともに、その花の背景に流れるものを描きたいと思うんです」と語る左さんの花の絵は、ほとんどがアップ。大胆な構図と力強さが特徴です。

「役者というのは、人々との関わりの中で演じていく職業でしょう。それに対して、花を描くという行為は、花一輪との対話であり、私自身の表現でもあるのです。そうした意味で、絵には“さらけ出しの自分”がいるので、恥ずかしくもありますが…」。

このアトリエにこもって絵を描いていると我を忘れてしまうそうですが、そうしたプライベートな空間と時間を持つことが、存在感のある女優としての表現力に貢献しているのでしょう。

チューリップ 左 時枝
富山県から届いた大輪のチューリップを飾って。「見事でしょう。開ききって老いる寸前の姿には、なんとも言えない美しさがありますね」。

玄関 左 時枝
玄関アプローチのテラス部分では、さまざまな草花が人を出迎える。



自らの手で植物を育てるのは大変ではあるけれど花が咲いたときの感動はひとしおです。
玄関 左 時枝
玄関 左 時枝
玄関ドアを入ったところにも、植物やオブジェがさりげなく飾られている。

人にも植物にも
住環境は大切

左さんのお宅は、世田谷の閑静な住宅街にあるマンションの1階。引っ越して来て10年になります。

「路地を隔てた隣に神社があったので、このマンションに決めたんです。ここの神社には木がたくさんあるでしょう。テラスや窓からも季節に応じた風情が楽しめます。もっとも秋は、枯れ葉が舞って大変ですけれどもね。私も秋は毎朝、竹ぼうきを持って、神社の庭掃除に行くんですよ。竹ぼうきでね、シュッシュッと土の上を掃く、あの感触がいいのよね」と、借景を含め、地元の環境を楽しんでいるご様子の左さん。また、そうした神社の緑は「風を起こし、日陰をつくってくれるので、花を育てるのにも、いいんです」。

その言葉どおり、玄関先やテラスには、鉢植えの花やグリーンがたくさん。「この家には土がないので、地植えの庭は無理ですが、鉢植えならではの利点を楽しんでいます。たとえば、レイアウトも好きに変えられるでしょう?」デザインとしてだけでなく、日当たりや気温など、それぞれの植物の適応条件に応じて、しょっちゅう配置替えをしているとか。手間ひまと、たっぷりの愛情を注がれて育つ植物は、どれもみな幸せそう。

左さんの園芸通は、お母様の影響も多大。「母が華道の先生だったので、花は身近な存在だったんです。花の心や、花を通しての人生観など、母に教えられました。花を育てるのは“先々どうなるかわからない楽しみ”がありますね」。



主人のセンスが生きる家具や作品、家族の思い出の品など、大切なもので暮らしを演出しています。

居間のあしらいは
ナチュラル&楽しげに

リビング&ダイニングの家具は、「壁がナチュラルトーンなので重い色は避け、明るい色調でまとめました」と、すべてナチュラルウッド製。小さな木箱2個の上に一枚板を渡したテーブルは、簡単ながら自然の風合いが漂うしつらい。タイ産のチェアは、彫刻とフォルムに独特のエスニックな雰囲気が香ります。それぞれ材質やテイストは異なりますが、色のトーンが統一されているため、全体がしっくりと調和して。

これら家具の見立ては、コマーシャル美術のディレクターであるご主人によるもの。壁の一面を彩るモダンな棚も、ご主人のデザインです。中には、左さんが旅先などで集めた骨董の和食器が山ほど。

「古美術商を営んでいた父による値打ち品もありますが、私は庶民的な雑器に惹かれます。特に色彩を施した染め付けの器は、食卓が明るくなるので好きですね」。

そしてご主人・市田喜一さんもまた、アーティストでもあります。市田さんの作品は、オートバイのマフラーなど鉄の廃材を用いた鳥のオブジェが主流。そうした表情豊かな鳥たちが、室内のあちらこちらで愛嬌を見せて…。左さんの花の絵とご主人の鳥のオブジェ、二人のアート作品が仲良く飾られた住まいは、自然を愛する優しさと創造性がいっぱいです。

オブジェ 左 時枝
オートバイのマフラーや農具など、そのままの形を生かしたご主人作の鳥のオブジェが並ぶ。

イス 左 時枝
ご主人がタイから送ってきたというベンチタイプの椅子は、本来は象の背中に載せて人を運ぶためのもの。飾り棚として愛用。

茶器 左 時枝
左さん自慢の器のひとつ。お父様の愛用品だった骨董の美しい茶器。


棚 左 時枝
壁面いっぱいの棚は、ご主人が考案したオーダーメイド。ライン状のガラス使いが粋。


女優 左 時枝
12歳のときに山本薩生監督「荷車の歌」で映画デビュー以来、女優の道を歩み続ける。映画、テレビドラマ、舞台、コマーシャルなど、出演作多数。プライベートで始めた油絵はプロ級の腕前に。花を題材とした展覧会の数々も好評を博す。自宅はテラスハウス式のマンション。園芸のほか手芸や料理など、手作りの達人でもある。ご主人、愛犬チワワと3人(?)暮らし。


リビング 左 時枝 ここはくつろぎの場であるリビングスペース。ベースはあくまでシンプル&ナチュラル。天然素材の家具やランプシェード、ラグなどが、優しい雰囲気を醸し出します。そこに動きのある表情を与えるのが、左さんの愛情が込められた植物や絵画と、ご主人の手によるユーモアたっぷりの鳥のオブジェ。二人の個性が調和する空間は、幸せな心地よさが漂います。


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