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ワガママ夢空間
> 住まいに「和」を取り入れる
一戸建てを新築します。 まだ、大学生、高校生の子供たちと 同居中なので、現代的な洋風の家を ベースにしたいのですが、どこかに 和風の情緒も取り入れたいと 考えています。
(46歳主婦/夫・大学生長男・高校生長女)
ワガママな質問に答えてくださる川鍋さん。 1962年生まれ。日本大学生産工学部建築工学科卒業。 タイム計画研究所を経て、1990年川鍋智子建築設計室(TEL.03-3399-8738)設立。 家づくりの会会員。環境芸術大賞90優秀賞受賞。
何を「和」とするか、限定するのは難しいのですが、ここでは「素材を生かす」、 「自然と融和する」ということを基本に考えました。 プランでは、石材、和紙、土、木材などの自然素材を、着色したり隠して使用したりせず、 構成材や仕上げ材として使用しています。また、西欧の建物では窓を小さめに取り、 外部と室内とを分けてしまう傾向がありますが、「和」の住まいでは窓を大きめに取り、 部屋と庭との間に「ぬれ縁」のような中間的な空間をしつらえるなどして自然と融和する工夫を凝らします。
将来二人の子供さんが家を出たときを想定し、子供室(1)は主寝室に、子供室(2)はクローゼットか納戸に、 主寝室は客室に転用することを考えたプランです。
障子や襖板戸などを使うと「和」の味わいが出てきます。 紙の建具は優しさを感じさせるのに欠かせない材料ですが、 破れたり黄ばんだりし、張り替えが必要です。 そこで、このプランでは広間とキッチンの間仕切りをすりガラス入りの障子にしました (図
)。 キッチンの中を隠したい時は閉め、普段は開けてオープンキッチンとして使います。 閉めても、障子を通して柔らかい光がキッチンに入ります。障子が現代的な雰囲気になるように、 組子の間隔を大きめにし、やや正方形に近い寸法にしています。 組子の太さを細くして繊細な雰囲気にする場合と、太くして力強くする場合などいろいろありますが、 この住宅の場合は全体の雰囲気に合わせて組子を太くしています。
キッチン上部には欄間(数奇屋などに見られる風を抜くために工夫された固定式の建具)のかわりに、 杉板を一定の間隔の隙間をあけて取り付けました。 また、ソファーの後ろの収納扉も、キッチンの欄間に合わせて杉の縦板貼りの扉にしています。
図
和室側から広間を見たところ。キッチンとの間仕切りを、すりガラス入りの障子に。 普段は開けてオープンキッチンとして使います。
プランの外観はモダンですが、玄関に障子を入れることで、「和」の趣を出すことができます (写真1は、このプランとコンセプトの近い設計例です)。 昼間は外光が柔らかく室内に入り、夜は反対に室内の灯りが外部に漏れ、温かい雰囲気の家になっています。
[写真1]
モダンな外観に「和」の趣きを取り入れた設計例。吹き抜けの窓には、木製のブラインドを取り付けています。
(写真:輿水 進)
庭の南側に竹垣をたて、隣地からの視線を遮りました。 竹垣は幅をとらないので、内側に隙間を多めにあけながら草木を植えると、 狭い庭でも奥行きが生まれます。地面を玉砂利の洗い出し仕上げにし、 飛び石のように鉄平石を敷いています (図
)。 また、北側は、かえでを駐車場にかかるように植え、地面には苔が生える石を敷き詰めました。 年々風情が深まるのも「和」の味わいです。
図
和室は、床に座った時に心地の良い空間にすることが必要です。 そのため、建具の高さは洋室より低くしています (図
)。 収納を押入にせず、一見壁に見えるような造りにしてすっきりと現代的に見せる工夫をしました。 床の間の上部の窓に葦の片開きの建具を取り付けているので、建具を閉めたままでも風が抜けます。
図
広間から和室を見たところ。床の間の上に葦製の建具を。窓が 隠れるので和の風情をそこなわずに風を通すことができます。
「和」はコスト的に高くつくので…と躊躇される方も多いようです。 伝統的な数寄屋の坪単価が高いのは、材料そのものを造るのと施工に手間がかかるからです。 予算に見合った材料を使用し、なげしや欄間などを簡略化し、なくてはならない壁、床、天井、 建具という部分に自然と折り合いをつけてきた伝統の手法を生かせば、コストの面で安心です。 私は自宅の和室に、シナ合板という比較的安価な材料を壁と天井に使用しました。 コストが抑えられたと同時に現代的な雰囲気の和室になりました。
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